三次元測定の考え方【覚書】
仕事で三次元測定機や3Dスキャナ、その他の測定器の使い方の指導を行うため、
教育内容を覚書としてまとめておきます。
ここでは私の理解している範囲で三次元測定時の空間設定の考え方をまとめます。
三次元測定機は接触式・非接触式、メーカーによっても多々異なる点がありますが、
操作手順が若干異なるだけなので、基本的な考えさえ理解していれば
操作を覚えるだけで使用できるようになるはずです。
どのようなときに三次元測定を行うか、ですが
"簡易測定具では測定困難な複雑形状を高精度で測定" する為です。
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【計測機器の使い分け】
・スケール、ノギス、ハイトゲージ ・・・簡易測定用。複雑形状測定不可。
・マイクローメーター、シリンダーゲージ・・・正確な測定を行うときに使用。
据え置き三次元測定と同等の精度。
・インラインカメラ ・・・長手方向はコンベア速度が安定かつ
振動がない状態でないと精度は低い。
コンベア速度依存の為。
外観欠陥に特化している。
・形状測定機 ・・・R形状測定用。三次元測定機に
ならし測定機能があるものが
主流の為、用途は少なくなっているが
"針"で測るので形状測定機でしか
接触して測れないものがある。
・3次元測定器(接触式) ・・・精密検査可。複雑形状対応可。
※測定子の向きが自由に曲がるタイプ
はやや精度が落ちる。
・3次元測定器(ハンディ・非接触式【スキャン】)
・・・上記より精度が劣る。公差の厳しい
製品の品質確認は困難。
…最近は良くなってきている…?
スキャンしてデータを取り込むまでの
時間がネックになることが多い。
(ネジゲージ、投影機、面粗機 等は割愛)
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2023.01.04
座標系とは?
座標系とは x,y,zで表される空間の事です。
すべての3D測定器の基本はこの空間上にワークを置き、
座標値を読み取る事で正確な寸法を測定を行います。
三次元測定ではこの座標系の位置・方向を合わせる事ができます。
もちろん、測定器にはもともと装置自体の座標系
(重力方向をz、装置の形状の縦、または横方向でx,y軸)が設定されている為、
単純な形状であれば測定可能です。
ただし、そもそも単純形状で三次元測定機が必要になる機会はあまりないですが…
という事で、基本的には3次元測定を行う際一番最初に行う事が
座標系を定める事です。
私の考えでは、この座標系の理解ができれば測定は8割終わりと考えてます。
それだけ重要な事なので本記事ではこの部分を重点的に記述します。
ただし、測定器によって座標系設定の手順が異なる為、具体的な操作には触れません。
基本的な考え方は全く一緒なので、座標系の理解だけできれば
新しい測定器が来てもすぐに使いこなせるようにはなるはずです。
2023/1/22
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座標系設定って?
座標系設定とは、その名のイメージ通り、測定対象(ワーク)が
座標空間(x,y,z)上のどちらを向いているか、座標系を定める事です。
座標系を定めなくても測定はできるはず…
もちろん、座標系を定める必要のないものも多数あります。
樹脂成型品であったり、金属全加工品であったり…。
ただし、加工素材および部分加工品などは、
鋳造品、鍛造品といったイレギュラーが起こり得る製造方法にて素材が
つくられている場合、"座標系"を定めた上での評価が必要になってきます。
これら製法の製品はは正しく評価ができなければ、
取代が少なすぎて加工ができない・取代が多すぎてチップが破損する・治具にセットできない等の異常は防げません。
次工程の加工(組立)に問題ないか正確に評価する為には
座標系設定をした上で評価を行う事が必要となります。
2023/3/11
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座標系から読み取った数値≠"距離"等で測定した数値ではない理由